戴冠式

敬愛する国民・・・いや、イマニティ同胞諸君！
我々イマニティは10の盟約のもと、戦争のないこの世界において負け続け、
最後の都市このエルキアを残すのみになっている。
ここで我は皆に問う、
それはなぜだ 前国王が失敗したからか？
我々が最下位の種族だからか？
魔法を使えないからか？
無力に滅ぶ運命にあるからか？
否だ！

かつて古の大戦において神々が、エルフがワービーストが多くの種族が争うなか我々は戦いそして生き残った！
かつてはこの大陸全土をすら人類国家が占めていたのはなぜか
我らが暴力を得意とする種族だからか
エルフのような魔法を使えずワービーストのような身体能力もなく
フリューゲルのような長大な寿命もない我々が大陸を支配できたのは
戦いに特化していたからか断じて否だ！
我らが戦い生き残ったのは我らが弱者だったからだ！
いつの時代どこの世界でも強者は牙を、弱者は知恵を磨く我らが
今なぜ追い詰められているかそれは10の盟約によって強者は牙をもがれ、
知恵を磨くことを覚えたことにほかならない
我らが弱者の専売特許だったはずの知略を、戦略を、
生き残るための力を、強者が手にしたからだ！
それがこの惨状だ！

皆のもの答えよなぜに頭(こうべ)を垂れるのか？
繰り返そうなぜ頭(こうべ)を垂れるのか？
我々は弱者だいまもなお昔もそうだった様に
そう、何も変わってはいないではないか！
強者が弱者を真似て振るう武器はその本領を発揮しない
なぜなら我らの武器の本質にあるのは卑屈なまでの弱さゆえの臆病さだからだ
臆病ゆえに我らは魔法から逃れられる知恵もある
臆病ゆえに学習と経験から生じる未来予知にすら到達しえる知恵を持っている
三度繰り返す『我らは弱者だ！』

いつの世も強者であることに
あぐらをかいた者のも共とを食いちぎってきた誇り高き弱者だ！